今年も薩摩会議に参加します


2025.8.6.


薩摩会議2025に、ホスト、ゲストとして参加する森田秀之です。

お知り合いでない方へ簡単に自己紹介をしておきますと、薩摩会議では「都城市立図書館 クリエイティブ・ディレクター」という肩書きで出ていますが、18年前に東京から長野県の御代田町に移住し、株式会社マナビノタネ、株式会社コードマーク御代田、株式会社コードマーク都城のそれぞれ代表取締役をしています。が、春から秋にかけては田んぼのことで頭がいっぱいです。

以下のリンクを載せておきます。
さて、昨年の薩摩会議に3日間参加しましたが、全国からホストやゲストで集まっているひとたちの「重力」をとても感じました。
私はDAY2(2日目)の新留セッションと、DAY3のコモンズをテーマにしたセッションにゲストとして参加しました。

今年もDAY2にはホストで、DAY3はゲストとして参加予定です。

もともと前日の9/20に稲刈りを予定していて、体力的にはかなりへろへろになりながら当日鹿児島入りしますが、多くの方と充実した時間を過ごしたいと思っています。
薩摩会議に向けて、少し長いですが書きたいと思います。


DAY1 基調セッション


昨年も登壇された山極壽一さんが今年もいらっしゃれるようでとても楽しみです(知らない方は少ないと思いますので、山極さんのご紹介は省略します)。
山極さんとは、昨年のDAY2のゲストでご一緒させていただく機会があり、著書もいくつか読みましたが、お考えはどれも共感できることが非常に多く、示唆に富んでいます。

そして今年はもうおひと方、哲学者の内山節さん。

内山さんも以前から著書やご講演などで考え方を伺ってきて、多くの大事なことを学ばせていただいてきました(2年前に東京でおこなわれたシンポジウム「続・森は誰のもの?」ではご一緒させていただきました)。

このおふた方が会場においでになり、お話を伺えるなんて、なんてとびきり贅沢な時間!!


DAY2 地域セッション


各地域に分かれて行いますが、昨年は10地域。今年は13地域に分かれて行うとのことで、どこも気合いが入っていて面白そうです。私も離島とかに行ってみたい!

ですが、ここは私がホストを務める「J.都城セッション」のPRしたいと思います。

都城について


都城は宮崎県です。そうです、薩摩会議初の鹿児島県外。
薩摩藩主の島津家の発祥の地と言われていて、かつて鹿児島県に入っていたこともあります。
そして、「都城県」という48番目の県だったこともあるぐらい、日向と薩摩の両方の文化が混ざり合った地域です。

都城市には、日本一になっているものが4つあります(もっとあるかもしれませんし、入れ替わっているかもしれませんが許して)。

一つは、ふるさと納税受入額。これはもう説明不要でしょう。
2つ目は、肉の産出額。牛、豚、鶏の合計。牛、豚は単独でも1位。「肉のまち」です。
3つ目は、農業産出額。まちの周囲には田畑がきちんと耕作されている。農家がやっていけていること、本当に大事です。
4つ目は、焼酎。全国トップの売上高の霧島酒造をはじめ、市内の焼酎メーカが日々切磋琢磨してがんばっています。

酪農で出る堆肥が農地に循環し、市内には食品加工の会社も多く、6次産業化を積極的に進めている点は、これからの日本の地域が生きていくのにとても大事なポイントです。

セッションのテーマについて


そんな地域で、今回テーマは「公共」です。それも「新しい公共」についてです。

会場が市立図書館であり、私が図書館を運営している事業体の代表をしているために所属が市立図書館なので、「公共施設」について語り合うのかと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
1次・2次・3次産業、市民の暮らし、まち、社会的共通資本。こういったことをどうしていくのか、自治体だけでなく、市民や民間事業者も役割を担うような「新しい公共」について語り合いたいと思っています。


都城市立図書館について


セッションの会場である都城市立図書館も、「新しい公共」の実践スタディのひとつです。

図書館自体は公設ですが、指定管理者制度によって民間3社が事業体をつくって運営しています。

そのうちの1社が、今回ホスト役を務める、都城市に登記された地元企業「株式会社コードマーク都城」です。
現在、代表取締役は私ですが、役員は都城の方になってもらっていて、追々代表も引き継ぎたいと思っています。

「株式会社コードマーク<地域名>」は、Jリーグをはじめとするプロスポーツチームの経営方式をヒントに、サッカーやバスケットボールではなく、守るべき社会的共通資本に対するファンが支援持株会に出資し(入会金を出し)、それを資本金にして会社をつくり、運営していく新たな仕組みです。

2020年に私が住む長野県の御代田町に「里山の維持」に対する賛同者を募って株式会社コードマーク御代田を設立。そして、2021年に都城市に「図書館の運営」に対する賛同者を募り、株式会社コードマーク都城が設立されました。


一昨年、大河ドラマが始まる前に吉高由里子さんと鶴瓶さんが都城に来てNHK『家族に乾杯』が収録され、放送されました (私もたまたま図書館に併設されているカフェにいる吉高さんに遭遇wしました。もちろん美しい方でしたが、それ以上に柔らかい空気を纏っていたのは印象的でした)。
番組の中で、『都城で110人に聞きました。鶴瓶さん・吉高さんに教えたい!、“マイベスト都城”』が紹介され、市立図書館が4位(1位は市内にある滝、2位は肉、3位は焼酎)で、出演者たちは「なんで図書館?」ととても驚かれていました(実際の訪問先はなんだかよくわからないセレクションで、残念ながら図書館内に立ち寄っていただくことはありませんでした)。

2018年に、まちの中心に残されていたショッピングモール建物を改修して開館した市立図書館には毎年約100万人の市民が訪れ(人口で割ると平均年数回は訪れている計算)、すっかり「まちの居場所」になりました。
(私も「居場所」についてお話をすることがありますが、『図書館と居場所』という本でも紹介されています)

「新しい公共」について語り合う際にどんな項目があるかは当日のセッションで出し合いたいと思いますが、地域の「居場所」も語り合えればと思っています。

午前中 霧島酒造見学について


鹿児島市から都城市までは高速など使いながら1時間半前後です。
朝8時に出発し、途中、休憩を多めに取りながら、10時には都城に着く予定です。

午前中は霧島酒造を訪れていただきます。「6次産業化や循環などについての認識を共有していただくため」(一応そういう位置付けw)です。 日本一の生産量を誇る霧島酒造の、環境配慮の取り組みやブランディングについても感じていただけるのではないかと思います。

なお工場見学の最後に各銘柄を飲み比べることができるのですが、午後のトークセッションのためにあまり飲みすぎないように注意しなければなりません、私も(微笑)。
お酒が弱い方も、焼酎の原料である芋を試食したり、仕込みに使っている伏流水を試飲したり、製造管理や自家発電といった環境への取り組みは興味深いと思います。

ランチ後、霧島酒造から市立図書館に移動(約10分)して、午後からセッション開始です。

セッション前半:ゲストのお話と対話の場について


まずはざっと館内をご案内します。

セッションの前半では「地域で生きるために必要な場とは?」という問いから始め、それをつくり、維持していく「新しい公共の可能性は?」などと徐々に深めていきたいと思います。

対話の場にふさわしい三人のゲストをお呼びしています。


まず一人目は、小野田泰明さん。

「設計者が映画監督だとしたら、建築計画者は脚本家、プロデューサー。監督がよい作品をつくるために、社会的な条件を整えるのが私たちの仕事。」

公共を含む「場」をデザインする時のさまざまな役割を描くこと、組み立て方を仕掛けていく第一人者。
特に、欧州での民間を活用した(PPP)公共建築整備のスキームなどの知見は本当に貴重です。

超多忙な小野田さんですが、これまでも都城に2度も来ていただいているよき理解者のため、ダメ元でお声がけしたところ、「また肉を食べたい」と引き受けていただけました。


二人目は、磯谷奈緒子さん。
ひとからよく「最もいいと思う図書館ってどこですか?」とか、「見に行った方がいい図書館を教えてください」などと言われるのですが、真っ先に答えるのは、

「海士町には行ったこと、ありますか?」

でも、「それ、どこですか?」と言われることも。海士町が、島根県の沖合いにある隠岐諸島にあることを知らないひとも結構います。

海士町の図書館の何が素晴らしいのかはもう行ってもらわないと口では説明しにくいんですが、ほっとする居場所づくりとか、冷蔵庫にある飲み物でも飲みながらゆっくりしていってねという空気感、島全体の何気ないところに図書館の本が置かれ、借りられるなど、本当に地域図書館の可能性を引き出しています。

磯谷さん、実は鹿児島県鹿屋市のご出身で、これまでも都城に講師役などでお呼びしています。今回もご実家に帰省される機会を伺うという常套手段でお声がけさせていただきましたら、okをいただきました。

海士町のこと、磯谷さんのやられてきたことを多くのひとに知ってほしいです。


三人目は、本多美優さん。
6年前、澁澤壽一さんが理事長である「共存の森ネットワーク」が事務局となって毎年開催されている「聞き書き甲子園」(全国の高校生約100人が「森や海・川の名人」をたずねるの事業)の20周年に向けての企画会議の時にご一緒したのがご縁。

もともとは商業分野でのウェブサイトやスマホアプリなどのデザインをされてきていますが、最近は私の公共施設整備支援の中の、サイン計画策定を行動デザインという専門性をもって手伝っていただいていたりします。

都城市立図書館の公式アプリの画面デザインも担当してもらいました。今回のセッションの検討結果を実践する環境としてこのアプリを使いたいと思います。これについては次に詳しくお話します。


能登半島での高校生の聞き書き取材をもとに、能登半島復興支援 冊子『ノトアリテ』をまとめるなど、その活動の幅を広げています。

今回、同じく能登半島の被災地に入る小野田さんとの対面でさらに何かが生まれるかもと密かにわくわくしています。

セッション後半:図書館アプリを使った実践について


今春、都城市立図書館の公式アプリをつくりました。

App StoreGoogle Play

すでにアプリは配布されていて、これまでは試験運用期間中でしたが、まもなく発表予定です。

館内に貼り付けてあるQRコードをカメラで読み込むことでスタンプを集め、いくつか貯まるとさまざまな特典クーポンが取得できたり、スマホ上での会員カード(図書館利用者カード)の表示、イベント情報の表示などといった、いわゆる店舗アプリの機能をベースにした便利ツールの姿をしているのですが、

実は最終的な狙いは、

『図書館、地域の民間事業者、市民とのコラボレーション』

を生み出していくことです。

事業に賛同した地元の事業者は「協力店」となって、地域活性化を図っていくためのさまざまな企画を考え、それをクーポンの形で発行。アプリ上で参加者を募ります。
参加者はクーポンを使うことによって地域が元気になっていくという「公共的」事業にともに参画していきます。

協力店がクーポンを考える際、扱う地域の文化や資源などに関する情報が必要な場合、図書館は従来のサービスであるレファレンス(相談)という形で支援。
調べた内容を活用して図書館内に企画架をつくったり、地域のデータベースへ情報を追加していきます。


セッション後半では、地元協力店を交え、このアプリを使った具体的な地域活性化のためのクーポンの内容を考えて、実際に発行してみます。

それがどうなったかは後日お知らせする予定でいます。

ホテル、ウェルカムパーティについて


宿泊は、図書館とともに街区(Mallmall)を整備した際につくられた、とても快適で落ち着いたホテル テラスタに部屋を確保してあります。

また、夕食を兼ねたパーティは、気軽な洋食中心のお店で行う予定です。参加者同士の交流を深められればと思っています。2次会は「肉のまち」「酒のまち」をさらに堪能できるお店へ。



ということで、都城セッション、内容が盛りだくさんではありますが、できるだけゆったりとお話しし、満たされた時間になればと思っております。関心がある方は是非ご一緒しましょう。

薩摩会議のウェブサイトの「薩摩会議へのお申込みへ」からエントリーできます。


そして、DAY3へ


まだ発表になっていませんが、DAY3もさまざまなテーマでセッションが行われるようです。

薩摩会議全体へのご参加、お待ちしています!!




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